絹/シルク
絹の風合い、光沢、色彩は現在の化学技術を持ってさえ、作り出すことができません。
その神秘的な美しさから、「繊維の女王」と呼ばれています。絹は蚕(かいこ)が吐き出す糸から作る「繭(まゆ)」を利用しています。
繭から繰り出された繊維を生糸といいます。
図1に示すように、生糸の断面を見ると2本のフィブロインの周りをセリシンが覆っています。この状態では手触りが硬く、光沢もないため石鹸などで洗浄してセリシンを除去して使用します。この工程を精練といいます
メリット
- ・美しい光沢としなやかさ
絹の断面は三角形をしています。光があたるとプリズムの役割をはたし多彩な反射・透過光を造りだします。 - ・美しい色
染料がたくさん繊維の中に入るので鮮やかに染まります。 - ・着心地が良い
汗や水蒸気を吸ったり、発散させる性質が優れています。 - ・美しいドレ-プとシルエット
繊維にコシ、弾力性、重さがあるためきれいなラインがでます。
デメリット
- ・摩擦に弱い
図1に示したように、絹繊維のフィブロインは、フィブリルという細い繊維が束になってできています。摩擦されると、フィブリルがバラバラになり毛羽立ったり、白化します。湿っている状態での摩擦は現象が顕著に出ます。 - ・色落ちしやすい
きれいな色に染まりますが、濃色品は摩擦や汗などで色が落ち、他の物に色がつくことがあります。 - ・紫外線に弱い
蛍光灯や太陽光線で、黄変したり、退色したりします。 - ・虫喰いにあいやすい
動物性繊維(たんぱく質)の絹は繊維害虫による喰害を受けやすいです。 - ・カビが生えやすい
湿気の多い季節にはカビが生えやすいです。 - ・汗や水ジミができやすい
絹の吸水性が大きいことは優れた性質ですが、汗や水でシミが発生することがあります。
まめ知識
- ・通常、絹は飼育されたものを言いますが、野外に放し飼いにされたものも一部使用されています。有名なものに天蚕(てんさん)、柞蚕(さくさん)があります。